それでは、株主優待を受けるには実際にどうすれば良いのでしょうか。ここでは株式投資の中でも株主優待を受けることだけに焦点をあててご説明いたします。
株主優待というくらいですから、まずは優待を受けたい企業の株主になる必要があります。株主になる、ということはその企業が発行している株券を購入することから始まります。証券会社に口座を作って、その証券会社を通して東京や大阪などにある証券市場で株式を購入します。ここでひとつ要注意なのが、株券を購入する=自動的に株主となるということではないことです。最近ではデイトレードと言って分単位で株式を購入してはすぐに売却ということを繰り返して利益を生み出す投資スタイルがあります。このような人の場合だと、その企業の株主になっていたのはほんの数分間ということになります。こんな人にまで株主優待を提供する、というのは本来の趣旨とは違いますよね。
株式を購入したら、まずその企業に自分が株主になったことを知らせるために名義書換を行う必要があります。自分で全部やろうとすると手続きが煩雑なので、証券会社で代行してもらうことが出来ます。さらに便利なのは「実質株主登録」と言って、証券保管振替機構という団体が推進している保管振替制度(略称:ほふり)を使うと実質株主登録が可能です。これは株券の受け渡しと同時に株主登録が行われるため、いちいち名義書換をする必要がありません。
また株主優待には必ず時期があります。通常は決算、そして株主総会を経てそれが終了した時点で株主優待が行われます。この際、株主優待が行われる対象者はそれぞれの企業が定めている「割当基準日」という日の時点で株主として登録されている人ということになりますので、株主優待を狙って株式を購入する場合には、この日までに株式を購入して株主登録を済ませておく必要があります。
具体的なスケジュールをご説明します。先ほど保管振替制度を使うと実質株主登録が可能だとお話しましたので、この制度を利用していることを前提にご説明します。株式には優待の他に配当があります。これは企業の生み出した利益を保有している株式に応じて分配するものです。つまり現金です。この配当は通常企業の決算日に支払い対象者が確定しますので、優待も通常これと同じ日に確定します。仮に3月決算の会社だとすると、決算日は3月31日なので優待の割当基準日も3月31日となります。保管振替制度を利用した実質株主登録の場合、株券の受け渡しの都合上4営業日前に株式を購入しておくと、3月31日に実質株主となることが出来ます。
2008年1月アーカイブ
株主優待を受けるために必要な仕組みについて、既にご説明しました。次に、株主優待を受けるために注意したいその他の点についてご説明いたします。
株主優待はすでにお話ししましたように、企業が自社の株式を長く保有してもらうために行うものです。配当や株価の上昇が投資家にとって最大の関心事であることは変わりがありませんが、さらに自社の株式保有に魅力を持たせたいという目的で行われるのが株主優待です。これを踏まえて、以下の点についてご説明します。
株主優待は持っている株式の数が多ければ多いほど優待も手厚くなります。これは先ほどの点を踏まえると当然ですね。より多くの資金を投入してくれている投資家は他の投資家よりも大きく優遇して逃げないようにする必要があるからです。
例えばハンバーガー店大手の日本マクドナルドホールディングスの場合を見てみましょう。マクドナルドの株主優待は、予想通り日本全国のマクドナルド各店で使える各商品の無料引換券です。ハンバーガーやサイドメニュー、飲み物の無料券が1冊になったシート6枚がもらえます。これには保有株式によって差がありまして、最低単位である100株から200株の場合は1冊。そして300株、400株の場合は3冊。500株以上になると5冊の無料券冊子がもらえます。何か特定の企業のファンだという場合はより多くの株式を持つことによって大きなメリットが享受できるかも知れません。
次に、これは保有株数によるもうひとつの注意事項です。先ほどからお話しているように、企業はより多額の出資者に対して優待を行いますので、小口の投資だと株主優待の対象から外れてしまうことがあります。ちょっとマイナーな銘柄ですが、広島の機械メーカーで石井表記という企業があります。この企業の株式は100株単位で売買できますが、株主優待である「5000円相当の名産品」をもらおうと思うと1000株以上保有していないと対象とはなりません。最低保有数の縛りはなくなりつつある傾向にありますが、仮に最低売買単位で優待が受けられるとしてもそれほど内容は期待できないというのがほとんどのようです。
さらに、あまり多数ではありませんが企業によっては株主総会に出席した株主やアンケートか何かに答えた株主、など株式保有数以外にも優待に際して一定の条件を設けていることがあります。これも企業の経営に対する関心の高さを計ることでたまたま保有していただけ、というデイトレーダーを排除して、長期保有してくれている株主を優遇しようという企業の本音が見られます。