株主優待狙いの売買


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株主優待が大きく注目され、株式投資の中で存在感を増しているという状況の中、当然と言えば当然でしょうが、最初から株主優待を狙って株式投資をする投資家が登場するようになりました。別の項で詳しくご説明していますように、株主優待を受ける条件を満たしていれば誰でも株主優待を受けることが出来ますから、割当基準日と言って株主優待を受ける対象者となることが確定する日を狙って株式を購入すれば確かにそれは可能です。上場銘柄はたくさんありますし、それぞれの企業の割当基準日はまちまちですから権利確定して株主優待を受けたら売却して、また次の株式を購入する、ということを繰り返せば一年中株主優待ばかりを狙って売買をすることが出来ます。このような投資手法は果たしてアリなのでしょうか?
結論から先に申し上げると、可能ではあるがお勧めは出来ないという答えになります。このような投資手法が実際問題可能なのは先ほどお話した通りです。ですが、これは株式投資の最も重要な要素である株価の変動を全く考慮していません。
"株で儲けた"と言っている人は株の一体何で儲けたのかと言うと、一番多いのは安い時に買って、高くなったら売るというトレードに成功したというケースでしょう。このような差益のことをキャピタルゲインと言います。一方、毎年支払われる配当や株主優待は株式を持っているだけで発生するものです。キャピタルゲインとは全く違うところで発生する利益です。
さて、それでは株価を大きく動かす市場心理を考えてみましょう。株主優待が大きく注目されるようになったということは優待狙いの投資家が増えているはずです。権利確定した直後にその株式を持っている必要がないということで売却する人がたくさん居たとしたら、当然株価は大きく下がります。その逆も然りで、人気のある優待を行っている企業の株式の権利確定が近づいている時には株価も上昇するはずです。つまり、株主優待ばかりを狙うあまりに高値を掴んで安値で手放すはめになってしまうため、優待どころか株価変動で大きな損失を被ってしまう可能性があるのです。
また、最近ではこのような優待狙いの投資家ではなく長期保有してくれている株主を優遇する傾向が見られるため、株主優待を1回ではなく年2回に分けるようなところもあります。これだと最低でも年2回の基準日に株式を保有している必要があるため、それならずっと持っていようとなることを目論見としています。また長期保有していると、1年よりも2年目のほうが手厚い株主優待が受けられるという企業も登場し、この傾向はさらに加速するものと思われます。
やはり結論としては、より手厚い優待を受けたいと思うなら株式を長期保有した方が得策と言えそうです。

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このページは、isが2008年2月28日 16:12に書いたブログ記事です。

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